法改正と事業提携で委託先管理の難易度が急上昇、そんなDGフィナンシャルテクノロジーにLens RMはどう貢献したのか?
お話を伺った方
株式会社DGフィナンシャルテクノロジー リスク統括管理部長 今丑 聡さん
決済代行サービスを中心に、金融とITの融合領域でビジネスを展開する株式会社DGフィナンシャルテクノロジー(以下、DGフィナンシャルテクノロジー)。2024年5月にKDDIグループとの業務提携を発表し、携帯キャリアにかかる月額費用の決済を担うなど、企業として飛躍の時を迎えています。そんななか、同社では次のような課題を抱えていました。
- 委託先の急増と管理の複雑化
- 金融機関からの監査要求の高まり
- エクセルでの管理による業務負荷の増大
これらの課題を解決するため、DGフィナンシャルテクノロジーは委託先・サードパーティ管理サービス「Lens RM」を導入しました。今回は、当時の課題やLens RM導入後の変化について、DGフィナンシャルテクノロジーのリスク統括管理部長である今丑 聡さんにお話を伺いました。
法改正や業務提携によって委託先管理の難易度が上がり、手作業では限界があった
そもそも、2023年の個人情報保護法の一部改正により委託先監督義務が強化され、銀行やカード会社の監査も厳格化。DGフィナンシャルテクノロジーでも、以前までは年に1〜2社程度だった問い合わせが、2024年以降は急増したと言います。
今丑さん:もちろん、弊社でも委託先管理は厳格に行っていました。しかしながら、最近では取引先から「委託先の一覧を見せてください」「どうやって管理していますか?」などの質問が増え、委託先管理が不十分だと判断された場合には契約を取り消すというケースもありました。
それに加えて、DGフィナンシャルテクノロジーはKDDIグループとの業務提携で事業を拡大するにあたり、経済安全保障推進法の規制対象となる可能性も出てきました。決済事業そのものだけでなく、清掃業者や観葉植物のリース会社など、一見リスクが低そうな委託先も含めて、すべての委託先を棚卸しする必要が生じたのです。
以前までのDGフィナンシャルテクノロジーでは、委託先管理をエクセルで行っていました。具体的には、エクセルでチェックシートを作成・配布し、担当者たちから回答をもらうという方法でした。
「ちゃんと質問を読んで回答してもらえるように、ところどころに否定形の質問を入れたり、必須のフリーテキスト欄を設けたりして工夫をしていました」と今丑さん。ですが、事業拡大や法改正による委託先監督義務の強化もあり、この方法で委託先管理を行うには限界がありました。
Lens RMによって年間400〜500件の委託先評価を少人数で対応できるようになった
Lens RMの導入を後押ししたのは、DGフィナンシャルテクノロジーの経営層でした。決済代行サービスから事業を多角化するなかで、リスク管理体制の整備は急務。当然のことではあるけれど、お金を扱う事業だからこそ「決して事故を起こしてはならない」という危機感がより募っていたのです。大きな事業の柱を建てようとしている今だからこそ、しっかりと管理できるサービスを導入すべき──そして白羽の矢が立ったのがLens RMでした。
では、Lens RMはDGフィナンシャルテクノロジーにどのような効果をもたらしたのでしょうか?今丑さんによると、導入後はこのような効果を感じたと言います。
- 業務効率化: 年間400〜500件の委託先評価を少人数で対応できるようになった
- 管理コスト削減: 作業だった多くのプロセスを自動化し、一元管理できるようになった
- 業務改善: 所管部門を巻き込んだリスク管理体制を構築し、全社のセキュリティ意識を向上できた
今丑さん:これまでは手作業でセキュリティアンケートを作成・配布・回収していましたが、Lens RMのおかげで一元管理が可能になり、エクセルからの転記や集計作業を削減できました。我々の場合、年間400〜500件の金融機関からのセキュリティチェックシートに対応する必要があり、セキュリティチェックシートには弊社の委託先に関する事項も盛り込まれています。つまり、金融機関の委託先の立場と、委託先を管理・監督する立場の両面を遂行する必要があり、6〜7名ほどの人員がいないとさばききれない業務量でした。担当者を採用しなければならないところでしたが、Lens RMを導入したためその必要はなくなりました。
Lens RMを導入したことで「業務の中心軸」ができ、業務間での“お見合い”もなくなったと今丑さんは振り返ります。
今丑さん:以前までは業務上の「核」と言えるようなものがなかったため、各々が行う業務がバッティングしてしまうことがよくあったのです。「うちは個人情報の部分なので」「いや、うちは契約は見ますけど」という会話もよく飛び交っていましたね(苦笑)。今はLens RMというサービスに沿うかたちで業務を進めるようになったため、全体的な仕組みも整ったように感じています。
リスク管理体制の強化は社内の“出来心”を打ち消し、不幸な事態を未然に防ぐ手立てになる
最後に「どのような企業がLens RMの導入を検討したほうがいいのか」と今丑さんに伺ったところ、次のような企業は「導入を検討したほうがいい」と回答されました。
- 委託先管理に工数をかけられない
- 台帳管理をエクセルなど手作業で行っている
- 金融機関からの監査要求が増えている
今丑さん:弊社は金融とITの真ん中にある「金融周辺業」です。扱っているデータはカード番号や個人情報などなので純粋な金融機関には該当しませんが、何か事故が起きるとその影響範囲は計り知れません。我々のような業界にいる企業は、使った方がいいサービスだと思います。
また、委託先管理の徹底を通じて社内のリスク管理体制を強化することは「不幸な事態を未然に防ぐ手立てでもある」と今丑さん。
今丑さん:リスク管理体制がしっかりしていないと、社内でよくない「出来心」を生んでしまいかねません。そうすると、社員を加害者にしてしまうという不幸な事態につながってしまいます。自社のリスク管理体制を強化することは、社会的責任を全うするだけでなく、不幸な事態を未然に防ぐ手立てにもなります。
そしてDGフィナンシャルテクノロジーの今後について、今丑さんはこのように話しました。
今丑さん:委託先・サードパーティ管理は単なるコンプライアンス対応ではなく、競争力の源泉にもなります。特に法改正によって金融業界の要求水準が高まるなか、我々もLens RMのようなサービスを活用しつつ、効率的かつ高度なリスク管理体制の構築を目指します。